「属人化を解消せよ」と言い渡された日 ── 私がGOALを自分で口にした理由【第2回】

前回は、私が着任したチームの状況とA君という存在について書いた。今回は着任初日、会議室で言い渡されたミッションのことを書く。

目次

呼び出された会議室

着任初日のことだ。

荷物を置く間もなく、IT部門のマネージャーとPMに会議室へ通された。向かい合って座った瞬間、場の空気でわかった。これは挨拶の場ではない。

開口一番、マネージャーがこう言った。

「月末月初の定例作業に、ひとりで5人日費やしている。これを解消してほしい」

言葉の意味はわかった。でも、正直なところ、その瞬間は「なんとなくわかった」程度だった。5人日とはどんな作業なのか。「解消」とは具体的に何を指すのか。何も見えていなかった。

「解消」とは何か、確認した

私はすぐに質問した。

「定例作業で実際に何をやっているか、周囲の方はご存知ですか?」

答えは明快だった。

「わからない。わかる人間がいない」

続けて聞くと、過去に一度、引き継ぎを試みたことがあったという。担当者を1名任命し、A君からレクチャーしてもらう形をとった。しかし、何も変わらなかった。

なぜ変わらなかったのか——このとき私には、うっすらとした直感があった。おそらく当事者同士に丸投げされたのではないか、と。引き継ぐ側と引き継がれる側の二人に任せきりにして、仕組みも関与もなかったのではないか。

もちろん、それが事実かどうかはわからない。ただ、マネージャーとPMの説明には、前回の反省や「次はこうしよう」という言葉が見えなかった。それが、私がそう感じた理由だった。

GOALは自分で提案した

「解消」の中身を確認したうえで、私はその場でGOALを提案した。

「行っていることを見えるようにすること」
「チーム内の他メンバーが対応できるようにすること」

この2本柱でいきたい、と。

マネージャーとPMはその場で同意してくれた。

なぜ自分から提案したのか。あとから振り返ると、それは自分のためでもあったと思う。GOALを自分の口から言葉にすることで、責任感が自然と生まれた。「やらされる仕事」ではなく、「自分が約束した仕事」になった瞬間だった。

今となっては苦笑いする、当時の考え

ただ、正直に書くと——当時の私には、今思えば良くない考えがあった。

「いざとなれば、自分がA君から全部引き継いでできるようになればいい」

そう、軽く考えていたのだ。

今の私ならすぐに気づく。それでは属人化がA君から私に移るだけだ。何も解決していない。でも着任初日の私には、それが見えていなかった。

チームの属人化を解消しようとした人間が、自分自身を属人化の受け皿にしようとしていた——これは、この仕事を終えてから気づいた、苦い笑いの出る話だ。

次回:まず、日次共有会を変えた

ミッションを受け、GOALを約束した。次に私がやったことは、チームの立て直しだった。

技術的な解決よりも先に、まず手をつけたのは日次共有会だった。

なぜ会議から始めたのか——次回に書く。

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この記事を書いた人

SAPコンサルタントとして35年以上、数多くの現場を歩き続けてきました。
プロジェクトの裏側、現場で学んだこと、失敗と気づきをここに綴ります。
投資・旅行・フルマラソン。まだまだ現役で走り続けています。

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