まず、日次共有会を変えた ── 12時まで続いた会議と、折れそうになった日【第3回】

GOALを約束した。「定例作業を見えるようにする」「他メンバーでも対応できるようにする」——言葉にするのは簡単だ。問題は、どこから手をつけるかだった。

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技術より先に、人だった

着任して最初にやったことは、定例作業の調査でも、A君への直接交渉でもなかった。

関係構築だった。

どこの誰かもわからない人間が、ある日突然リーダーとしてやってくる。信用も実績も何もない。そんな人間がいきなり「教えてほしい」「変えたい」と言っても、誰も動かない。それは当然のことだと思った。

そしてもうひとつ、私には着任前から感じていたことがあった。

属人化の問題は、A君個人の問題ではない。

長年、チームの中でひとりで抱え込むしかなかった状況が積み重なった結果だ。A君を責めても何も変わらない。変えるべきは仕組みであり、チームそのものだ。だからこそ、まずチーム全体と向き合うことから始めようと決めていた。

日次共有会を変えた

着任前からチームでは日次共有会が行われていた。

スタイルはこうだ。リーダーがExcelのタスク一覧を見ながら、担当者ひとりひとりに状況を確認し、資料を更新していく。ごく一般的な進捗確認の場のように見えた。

しかし実態は、リーダーと担当者の一対一のやりとりが、タスクの数だけ繰り返されるだけだった。他のメンバーは自分に関係のない話の間、ただ座っている。チームで集まっている意味が薄い。

A君が状況をフォローすることもあったが、それも気が向いたときだけだった。全体として、「個人戦をタスクごとにやっている場」になっていた。

私が変えたかったのは、これだった。

「メンバーの困りは、チームの困り」

誰かが詰まっていることを、チーム全員が知っている状態にしたかった。そして日次共有会が終われば、全員がスッと、迷いなく自分のタスクに向き合える——そういう場にしたかった。

まず、時間枠を30分から1時間に変更した。

9:15に始まった会議が、12:00まで続いた

思い通りにはいかなかった。

最初は、誰が何をなぜ困っているのかを私自身が把握しきれていない。だから根掘り葉掘り聞いた。話が横道にそれることも多かった。感情的になりかける場面もあった。

結果、9:15に始まった日次共有会が終わるのは12:00——午前中いっぱいかかることもしょっちゅうだった。

他チームからは変な目で見られた。部長やPMから「朝の会議が長すぎる」と指摘を受けることもあった。

でも私は、単純に時間を短くすることには同意しなかった。

「善処します」と言いながら、中身は曲げなかった。時間が長いのは問題ではなく、中身が充実していないことが問題だと思っていたからだ。話題が長引きそうなら別途タスク会議を設ける。横道にそれたら引き戻す。感情的になりかけたら、みんなが向かうべき方向を丁寧に確認する——そうしながら少しずつ場を整えていった。

着任して2〜3か月は、良くなったり悪くなったりの繰り返しだった。

折れそうになった日、支えてくれた人

正直に言うと、折れそうになった日もあった。

チームはなかなか変わらない。部長からはお叱りを受ける。自分のやり方が正しいのかどうか、わからなくなる瞬間があった。

そんなとき、支えてくれたのが他チームのBリーダーだった。

明るく、エネルギーにあふれた人だった。チームの状況がうまくいかず落ち込んでいると、いつも鼓舞してくれた。「大丈夫、続けていればわかってもらえる」——そういう言葉をかけてくれた。

今となっては、戦友のように感じている。人のめぐりあわせがなければ、ここまで続けられなかったと思う。

属人化を解消するのはリーダーひとりの仕事ではない。周りの支えがあって、はじめて前に進める——それもこの仕事で学んだことのひとつだ。

次回:定例作業を「チームの財産」にした方法

日次共有会を続けながら、並行して着手したのが定例作業の「見える化」だった。

フロー作成ツールを使い、みんなでワイワイ言いながら1枚の資料を書き上げた。自動化できるものは自動化し、他メンバーが手を動かしながら少しずつ覚えていく——そのプロセスを次回に書く。

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この記事を書いた人

SAPコンサルタントとして35年以上、数多くの現場を歩き続けてきました。
プロジェクトの裏側、現場で学んだこと、失敗と気づきをここに綴ります。
投資・旅行・フルマラソン。まだまだ現役で走り続けています。

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