S/4HANAへの移行で、もっとも大きく変わったのが会計まわりのテーブル構造です。ECC6.0では FI・CO・ML(マテリアルレジャー)がそれぞれ別のテーブルに分かれていましたが、S/4HANAでは ACDOCA(ユニバーサル・ジャーナル) という1つのテーブルに統合されました。まずは全体像を1枚の図で押さえてください。
目次
FI(財務会計)テーブル関連図【S/4HANA】

※スマホでは端末を横向きにすると、図がさらに見やすくなります。
テーブル間の相関(ER図)
次に、各テーブルがどの項目(キー)で結合しているかをER図で示します。伝票ヘッダ(BKPF)に対して明細(BSEG・ACDOCA)が BUKRS+BELNR+GJAHR の複合キーで1対多にぶら下がり、勘定(G/L)・原価センタ・利益センタの各マスタが ACDOCA から外部キーで参照されます。◆が主キー、緑字が外部キーです。

※ER図は主要項目のみ抜粋しています。実際のテーブルにはこのほかにも多くの項目があります。
ECCのテーブルは、S/4HANAでどうなったか
| ECCのテーブル | 役割 | S/4HANAでの扱い |
|---|---|---|
| BKPF | 会計伝票ヘッダ | そのまま存続 |
| BSEG | 会計伝票明細 | 存続するが、明細の「正」はACDOCA |
| BSID / BSAD | 得意先 未消込/消込 | ACDOCAから読む互換ビューに |
| BSIK / BSAK | 仕入先 未消込/消込 | 同上(互換ビュー) |
| BSIS / BSAS | G/L 未消込/消込 | 同上(互換ビュー) |
| GLT0 | G/L残高(集計) | ACDOCAから集計する形に |
| FAGLFLEXA / FAGLFLEXT | 新G/L 明細/集計 | ACDOCAに統合 |
| COEP / COSS / COSP | CO実績明細/計画 | ACDOCAに統合 |
| (原価要素マスタ KA01) | 原価要素を独自管理 | G/L勘定に統合(独立マスタ廃止) |
押さえておきたい5つの変化
- Universal Journal(ACDOCA統合)──FI・CO・MLが1テーブルに。FI→CO転送バッチ(KALC等)が廃止され、入力した瞬間にFIとCOが常に一致する。
- 原価要素マスタの廃止──KA01で独自管理していた原価要素がG/L勘定に統合。移行時にベテランが戸惑いやすいポイント。
- 収益性分析(CO-PA)の変化──原価基準から勘定基準が主流に。ECCのカスタマイズをそのまま移行できないことがある。
- Material Ledgerの必須化──ECCではオプションだったMLが全社強制有効化。月次でCKMLCP(在庫原価確定)が必須作業になる。
- 月次バッチの大幅減少──FI-CO突合チェックが原則不要に。月中でも正確な部門別損益が確認できる。
運用保守で注意すること
- 月次締めの手順が変わっている。ECCの手順書をそのまま使うと障害につながる。
- Material LedgerのCKMLCP締めを忘れない。ECCでML未使用だった会社は特に注意。
- レポートがFioriベースに移行し、SAP GUIトランザクションが減っている。
- ミスがリアルタイムで反映される。ECCのように「バッチ前なら直せる」猶予がない。
管理会計側はCO(管理会計)テーブル関連図にまとめています。業務フロー(調達→生産→販売→CO)やテーマ別ER図もそちらに用意しました。あわせてSAPトランザクションコード一覧(Tコード)もご参照ください。このページは随時更新し、今後 MM・SD なども追加していく予定です。「この関連図も見たい」というリクエストはお問い合わせフォームからどうぞ。
