このページは、S/4HANA のテーブル関連図シリーズの一つです。FI(会計)編・CO(管理会計)編に続くMM(調達)/SD(販売)編として、上流モジュールの主要テーブルと、それが会計(ACDOCA)へどうつながるかを図で整理します。
CO編で「COは調達→生産→販売の価値連鎖の集約点だ」と書きました。その価値連鎖の入口にあたるのが、ここで扱う MM と SD です。発注・入庫・請求書照合(MM)、受注・出荷・請求(SD)——これらの伝票が、S/4HANA ではリアルタイムに会計へ流れ込みます。
① MM/SD 業務フローと会計連携
まず全体像です。調達(MM)と販売(SD)の伝票が、それぞれ会計伝票として ACDOCA に転記され、FI と CO が同時に更新されます。

② 調達・在庫の ER 図(MM)
調達の文書チェーンです。購買発注(EKKO/EKPO)を起点に、入庫(MATDOC)と請求書照合(RSEG)が、それぞれ会計仕訳として ACDOCA に転記されます。品目マスタ(MARA)が各伝票を束ねます。

ポイントは MATDOC です。ECC では在庫伝票が MKPF(ヘッダ)と MSEG(明細)に分かれていましたが、S/4HANA では MATDOC 一本に統合されました(旧テーブル名は互換ビューとして残ります)。
③ 販売・請求の ER 図(SD)
販売側の文書チェーンです。受注(VBAK/VBAP)から出荷(LIPS)、請求(VBRP)へと進み、出荷は売上原価、請求は収益として ACDOCA に転記されます。得意先マスタ(KNA1)が紐づきます。

なお、得意先は受注ヘッダ(VBAK)に直接は持たず、パートナ機能テーブル VBPA(PARVW=AG = 注文主)を介して紐づきます。図では読みやすさを優先し、KNA1 を会計(ACDOCA)側に直結させて示しています。
④ ECC6.0 → S/4HANA 主な変化(MM/SD)
| 領域 | ECC6.0 | S/4HANA | ポイント |
|---|---|---|---|
| 在庫伝票 | MKPF + MSEG | MATDOC(旧名は互換ビュー) | ヘッダ・明細が1テーブルに統合 |
| 在庫の数量・金額 | 集計テーブル中心(MARD/MARC/MBEW 等) | MATDOC から集計(オンザフライ) | 在庫の「真実の源」は MATDOC へ |
| 会計連携 | MM/SD → FI へ転記(一部バッチ) | ACDOCA にリアルタイム転記 | 入庫・請求照合・出荷・請求が即会計反映。FI・CO 同時更新 |
| 得意先/仕入先 | KNA1 / LFA1(+会計ビュー) | ビジネスパートナ(BP)に統合 | 入口は BP。背後で KNA1/LFA1 は継続 |
| 品目番号 | MATNR 18桁 | MATNR 最大40桁に拡張可 | インターフェース・アドオンの桁に注意 |
⑤ 運用・連携で押さえるポイント
- MM-FI 連携:入庫(GR)で「在庫/GR-IR 仮勘定」、請求書照合(IR)で「買掛金/GR-IR 清算」の自動仕訳が、ACDOCA に即時に立つ。
- SD-FI 連携:請求(Billing)で「売掛金/収益」、出荷で「売上原価(COGS)」が計上される。月中でも損益が見える。
- 在庫は MATDOC が源泉:集計テーブルを直接参照していたアドオンやレポートは、MATDOC ベースへの見直しが要る場合がある。
- BP 移行:得意先・仕入先の登録はビジネスパートナ(BP)トランザクションに一本化。旧 XD01/XK01 の流れは使えない。
- MATNR 桁拡張:40桁化を有効にした場合、外部インターフェースや帳票のレイアウトに影響しうる。
これで、FI・CO・MM/SD と、S/4HANA の主要な伝票テーブルが ACDOCA を中心に一つにつながる姿が見えてきます。あわせて FI(会計)編・CO(管理会計)編 もご覧ください。
※ テーブル名・項目・ECC→S/4 の対応は、現場目線で主要なものを抜粋・整理したものです。バージョンや設定により異なる場合があります。お気づきの点があればお問い合わせフォームからお知らせいただけると嬉しいです。
